07.04.2021
ASM Pacific Technology Limited(以下、「ASMPT」または「グループ」)(証券コード:0522)は、2020年12月31日を期末とする事業年度の業績を発表しました。同社の多くのお客様は、ASMPTのテクノロジーを活用し、デジタル化する世界に備えて様々な半導体および電子機器とサービスを提供しています。
グループ全体 ハイライト - 2020年度
新型コロナウィルス(COVID-19)のパンデミック、世界的な景気後退、貿易摩擦の緊張による2020年の前例のない状況下の中においても、ASMPTは着実に成長し、2020年12月31日を期末とする事業年度において、前年比(YoY)で6.3%の収益成長率168.9億香港ドル(20億1,800万米ドルに相当)を達成しました。(2019年:158.8億香港ドル、20億3,000万米ドルに相当)
2020年におけるASMPTの財務実績は、いくつかの要因によって達成されました。1つは、グローバルでのデジタルトランスフォーメーション化が加速し、パーソナルコンピューティング、接続性、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)デバイスに対する強い需要が生まれたことです。これにより、グループの主流ビスネスとそのアドバンスドパッケージング(AP)ソリューションの両方に対する顧客の需要が高まりました(APは前年比で50%以上の収益成長を達成)。グローバルな5Gの展開により、顧客からの引き合いも増加しました。そして最後に、2020年の後半には、打撃を受けていた自動車分野でも景気回復の兆しが見え始め、グループの半導体ソリューションとSMTソリューションの両方のセグメントに好影響がもたらされました。
グループ全体の収益実績は、前年比16.7%という大幅な受注の伸びと並行して達成されました。これは、2010年以来初めて下半期の売上が上半期を上回ったことで、さらに顕著になりました。グループのAPソリューションの売上は、グローバルな統合デバイスメーカー、主要なファブレスおよびファウンドリ企業、高密度基板メーカー、主要な外部委託組立およびテスト企業からの需要拡大によってもたらされました。
グループ全体の純利益(一時的な項目と関連する税効果を含む)は16億3000万香港ドルで、前年比162.0%の伸びに相当します。2つの特別利益/損失は次のとおりです。
- 材料セグメント部門の55.56%の売却完了により、8億5,900万香港ドルの利益を獲得しました。
- グループの製品ポートフォリオを簡素化する取り組みの結果、在庫評価減、サプライヤー契約の終了、製造資産の減損に関連する合計2億5,530万香港ドルの引当金を計上しました。これは、グループが市場での地位、運営効率、コスト構造を強化するために取り組んでいる、いくつかの重要な構想の1つです。
ASMPTの2020年度末時点の受注残は59億3,000万香港ドル(7億6,480万米ドル)となっており、売上受注比率は1.09でした。また、2020年12月31日時点で、44.6億香港ドルの現金および銀行預金を保有しております。
グループ全体の業績を鑑みて、取締役会では1株あたり2.00香港ドル(2019年:0.70香港ドルの最終配当)の最終配当を提案しました。2020年の配当性向総額は1株当たり2.70香港ドル(2019年:2.00香港ドル)で、配当性向は68%です。これにより、1989年のHKEX上場以来、世界経済と半導体サイクルの好不景気においても、毎年一貫して配当を支払ってきました実績が継続されます。
グループ全体のハイライト - 2020年度第4四半期
グループ全体で49.2億香港ドル(6億3,440万米ドル)の収益を記録し、前年比10.5%、前四半期比15.2%の成長を示しました。これは、5億3,000万ドルから5億9,000万ドルの間としていた見通しを大きく上回っています。
グループの第4四半期の受注額は51.0億香港ドル(6億5,820万米ドル)で、第4四半期の過去最高を記録しました。前年同期比で46.3%、前四半期比で12.9%増加しました。この結果は、第4四半期の受注額は年間で最も低くなる傾向があるという、一般的な季節要因を覆すものでした。
「ASMPTは当初2020年の新型コロナウィルス(COVID-19)のパンデミックの影響を受けましたが、従業員、サプライヤー、パートナーの回復力と適応性により、運用上の制約を解決し、顧客へのコミットメントを継続して参りました」と、ASMPTのグループ最高経営責任者であるRobin Ng氏は説明します。 「パンデミックにより、今もなお困難に直面していますが、例えば「在宅」活動の増加など、企業、社会、世界経済の間で加速するデジタルトランスフォーメーションへのシフトという、前例のない機会も見られます。デジタル化要件とニーズのこの大幅な上昇は5Gテクノロジー、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)、自動車の電化などの主要分野におけるメガトレンドと並行して、世界的に堅調な半導体需要を牽引しました」
セグメント毎のハイライト – 2020年第4四半期
半導体ソリューションセグメント
半導体ソリューションセグメントの2020年第4四半期の収益は、これまでの最高記録となりました。23億8,000万香港ドル(3億660万米ドル)の収益は、前年比17.3%、前四半期比24.1%という高い成長率を示しています。本セグメントの優れた収益パフォーマンスは、以下によってもたらされました。
- IC/ディスクリート事業部門では、モバイルおよびパーソナルコンピューティングデバイスとHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)用途に対する強い需要が生まれました。
- オプトエレクトロニクス事業部門では、顧客からの従来のディスプレイおよび一般照明に対する旺盛な需要、ミニLEDおよびマイクロLED用途でも需要が増えています。
- CIS事業部門はQoQで収益が増加し、改善の兆候が見られました。
- 製品レベルでは、半導体ソリューションセグメントの主流であるダイおよびワイヤーボンダーも、前年同期比で非常に大きなな収益成長を果たしました。
- 受注額25億9,000万香港ドル(3億3360万米ドル)も本セグメントの第4四半期で過去最高であり、3つの事業部門すべてが前年比で大幅な受注の伸びを記録しました。
SMTソリューションセグメント
SMTソリューションセグメントの2020年第4四半期の収益は19.3億香港ドル(2億4,930万米ドル)で、前年比1.4%、前四半期比10.4%の成長を達成しました。これは主に、自動車、5Gインフラストラクチャ、工業用途に対するエンドマーケットの需要によるものです。製品レベルでは、システムインパッケージ(SiP)用途向けの高精度SMTシステム(本セグメントのアドバンスパッケージ製品)に対する強い需要が続きました。2020年第4四半期に力強い回復を果たした本セグメントの装置、サービスおよびスペアパーツ事業の業績は、特にユーロ圏および南北アメリカ顧客の製造活動が改善されたことを示しています。
SMTソリューションセグメントの2020年第4四半期の受注額は16億1,000万香港ドル(2億800万米ドル)で、前年比で4.7%増、前四半期比で9.1%減少しました。セグメント全体のQoQの受注減少にもかかわらず、自動車業界の顧客からの新規受注はQoQで増加しております。
材料セグメント(2020年12月29日以降非連結)
この四半期、材料セグメントによっていくつかの目標が達成されました。まず、2020年第4四半期の収益は6億840万香港ドル(7,850万米ドル)で、四半期ごとの過去最高を記録し、前年比17.8%増、前四半期比1.0%増を果たしました。二つ目に、2020年第4四半期の受注も過去最高の9億380万香港ドル(1億1660万米ドル)で、前年比64.7%、前四半期比75.3%の成長を示しました。この堅調な受注は半導体デバイスの旺盛な需要とパッケージングおよび組立装置に対する顧客の需要を反映しています。
2020年第2四半期に発表された本セグメントの主要パートナーとの計画的かつ戦略的合弁事業(SJV)への移行は2020年12月28日に予定通りに完了し、2020年12月29日から本事業の財務は非連結化され、持ち分法適用会社となります。ASMPTは、Advanced Assembly Materials International Limited(「AAMI」)というSJVの44.44%の所有権を保持しています。AAMIは独立した事業体として運営いたしますが、グループの事業にとって引き続き非常に重要な位置付けです。
「ASMPTは2020年を前向きに終え、将来に向け非常に適切な基盤を築きました。2021年の市場予測における広範な半導体のさまざまな市場への展開による成長を期待しています。長期的には、5Gイノベーション、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)、自動車の電化によるメガトレンドは、今後数年間、グループのパフォーマンスを持続的に促進できる重要な推進力であり続けます」とNg氏は述べています。
配当方針
ASMPTは、2011年から2020年までの平均配当性向に匹敵する約50%の一貫した年間配当性向を継続するという将来に向けた配当政策を明確にしました。実際の配当性向は、グループ戦略と財務実績、流動性と資金調達のニーズ、一般的な市場の見通しなど、さまざまな要因によって毎年異なります。また、取締役会は、グループの将来の見通しや必要資本などの要因を参照に、この配当方針を随時見直します。
2021年の見通し
2021年の業界予測では、全体的に加速するデジタルトランスフォーメーションと、自動車および産業市場の回復に牽引され、広範な半導体の成長を示しています。
2021年初期以降、半導体ソリューションセグメントでは過去にないペースで受注が伸びており、その結果、グループの2021年第1四半期の受注は7億米ドルを超えると予想しています。世界的な経済情勢の改善と半導体在庫の補充により、世界的なサプライチェーンの状況は厳しくなっています。グループのサプライチェーンは当初影響を受けましたが、半導体ソリューションセグメントにより、SMTソリューションセグメントの収益のQoQの季節要因による減少が相殺され、依然としてQoQの力強い収益の成長をもたらすと予想しています。全体では、2021年第1四半期の収益見込みは5億ドルから5億5,000万ドルの範囲になると予想され、これは第1四半期としては最高記録になります(材料セグメントからの収益を除く)。ASMPTは、顧客の旺盛な需要にこたえるべく、今後数四半期で積極的に生産能力を増強していきます。
収益の増加に加えて、一貫性のある持続可能な長期的な収益性を確保する必要性から、グループは2020年に包括的な戦略の見直しを実施し、将来の市場での地位と収益性を大幅に改善しました。
「製品ポートフォリオの効率化と強化、組立装置市場のミッドエンドとハイエンドの両方のセグメントでの市場シェアの拡大、製品のコスト構造の改善など、グループ全体で今後数四半期にわたって多くの計画が展開されます」と、Ng氏は説明します。「これは、持続可能な長期的なグループの収益性につながると確信しています」